[※2010年当時の分類で掲載しています。現在のAPG分類体系(APG IV)では、Garryaceaeは本稿のガリア属Garryaに加え、アオキ属Aucubaも含まれます。このためGarryaceaeの和名はアオキ科となりました]
ガリア科は小さな科で1属十数種からなっています。ガリア科の分布地は米国の南西部からパナマにかけての限られた地域です。この科で有名なのは、なんといってもガリア・エリプティカです。その美しい尾状花序を観賞するために庭に植栽されています。ところが当館で栽培しているガリア・リンドヘイメリの尾状花序は全然美しくないのです。同属の植物なので、同じような美しい尾状花序を期待したのが大きな間違いでした。とはいうものの種子から育てた植物ですので、心の中では可愛く思っています。
ガリア・リンドヘイメリの生育地は米国のテキサス州のエドワーズ高原からペコス川流域です。英名は Lindheimer’s silktasselといい種形容語ともどもFerdinand Lindheimerに由来したものです。Ferdinand Lindheimer(1801~1879年)はフランクフルト生まれのドイツ人で、後に米国にわたりテキサスの植物学の父と呼ばれた人物です。
1999 年の6月7日に播種したところ、同年の9月24日に発芽しました。2002年の3月18日に鉢から取り出し地植えしたところ、2006年5月19日に初開花しました。この科の植物は石灰岩地帯の植生ということですが、京都山科区の普通の土でも問題なく育ってくれました。また寒さに少し弱いということだったのですが、京都の冬も難なく越しています。また湿気を嫌い水はけのいい乾燥地を好むらしいのですが、日本の梅雨にも平気でした。
最後になりましたが、当館で発芽させた種子はFerdinand Lindheimerの生まれ故郷のフランクフルトにある植物園から、いただいたものです。